竹久夢二

竹久夢二の手紙 選

 

どんな仕事でも 自分の心のすむように あとあとの世にのこして はつかしくないものを残しておきたい 芸術家のつまはかなしいものだ 昔もいまもかはりはない _

 

 

君を得ることが私にとって、いろんな意味から必要で自然で、合理的で、そして幸福であることをおもう。 _

 

 

今日はぼんやりしたお月さま ちょうどおまえのようだろね 風がことことと障子をゆすると 人間はすべて さみしいものだとおもう いま日がくれるところで 赤いよこぐもが うつくしい _

 

 

どの路を選ぶかではない。どんな風にこの路をゆくか。それが私の唯一の路です。 _

 

 

不健全な病的な女しか私は描きたくないのです。 _

 

 

途中から雨があがって、汽車のまどから見える遠い山々は、夕化粧した女のようにうつくしく、夕日がぽっと照って、富士もつくばもむらさき色に見えていた。 _

 

 

人の言葉のまん中、人の心持ちのまん中、それをしることが一ばんだいじだ。 _